房総ネットワーク  「もの忘れを防ぐには」   (2020/ 2/ 5)

近年、日本人の死因のトップは
「がん」ですが、次いで多いのが「心疾患」第三位は「脳血管疾患」で、このふたつはいわゆる動脈硬化性疾患。そして脳血管疾患の主なものとして脳梗塞があげられます。高齢化社会が進むなか、脳梗塞の予防は「元気な老後」をおくるためにとても重要です。

動脈硬化には自覚症状がありません。ですから健康診断で脂質異常症や動脈硬化と診断されているにもかかわらず、放置してしまう人が多いのです。発作が起こってしまってからでは遅いのです。脳梗塞を発症後、「寝たきり」になってしまう人も少なくありません。

もの忘れや、認知症を防ぎ、元気で長生きするには、脳が元気で身体が健康体であることです。

食事・運動・睡眠など日常の生活習慣に気をつけるだけでも予防効果は大!「元気な老後」を過ごすためにも、今すぐ生活習慣の改善に努めましょう。

それでは、楽しい老後を過ごすためには
「海馬を鍛える」「会話でのコミュニケーション」「運動」バランスの良い「食事や睡眠」です。この生活習慣を改善することにより、・がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎・認知症・もの忘れ の予防になります。


◇脳の衰えを防ぐには「海馬」を鍛えよう

高齢になるに従い、直ぐに人の名前が出てこない等ありませんか。これは海馬の衰えの始まりです。人の名前が出てこないときの考え方として
 1.年だからと諦める
 2.昔から記憶力が弱いからと諦める
 3.脳を鍛えようと実践する
正解は 3 で脳の鍛え方は色々ありますが、先ずポジティブな思考(プラス思考)することで脳は鍛えられます。反対にネガティブな思考(マイナス思考)をすると、ストレスとして感じるため、脳はダメージを受けてしまいます。

例えば、自分を「若い」と思うことはポジティブな思考(プラス思考)、「老けている」と思うことはネガティブな思考(マイナス思考)につながり、脳に影響を与えます。

脳の神経細胞は生まれたときから増えず、これが減ることで老化が進むのですが、唯一「海馬」からは神経細胞が生まれます。これを「神経新生」と呼ぶのですが、ストレスを強く感じると、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の血中濃度が増え、この神経新生を抑えてしまうのです。そうすれば神経細胞が生まれず、記憶や感情面などに悪影響があります。

反対にポジティブな思考(プラス思考)は、物事に対する好奇心や積極的なコミュニケーションなど、脳にとって刺激ある行動につながります。そうすると、脳の柔軟性である「可塑性」も発達して、認知能力や頭の回転の速さなどに良い影響を与えます。

脳を健康に保つためには、ストレスを抑え、ポジティブな思考(プラス思考)を持つことが大切です。

ポジティブな思考(プラス思考)の6つの考え方
 1.いつも笑顔
ポジティブな人は、常にプラス思考な性格でいるため、あまり長期間悩み続けたりしません。そのため、考え方や行動が前向きであるだけでなく、いつも明るい表情で、ニコニコと笑顔でいることが多いです。笑顔は脳、身体の特効薬です。

 2.失敗しても、深刻に考えない
生きている限り、ミスや失敗はどれだけポジティブな人でも当然起こるものです。しかし、ポジティブな人は失敗しても、「今はダメだけれど、いつか必ず上手くいくようになる」と考えるのが特徴。
できることをやったのなら、あとは考えても仕方ないという発想を持って、必要以上に深刻に考えることはしないことです。

 3.好奇心旺盛に
ポジティブ思考の人は新しいもの好きで、常に刺激を求めている傾向があります。
どんなことでも一回はチャレンジしてみたい好奇心旺盛な性格なため、いつもワクワクしている状態になっているでしょう。
楽しさや、やりがいといったようなものを見つけるのも得意なので、どんなことでもエンジョイしながら取り組めます。

 4.自分のことが好き
ポジティブ思考の人は、人懐っこい性格で、他人のことも愛していることが多いですが、それに負けないぐらい自分のことが好きです。
人を傷つけることもなく、自分を責めることもしないので、常に前向きな考え方をキープすることができるのです。
ポジティブとは決してナルシストなイメージではなく、自分を大切にしているという印象です。

 5.どんなことでも楽しみを見出そう
嫌な仕事を押し付けられたり、知らない場所で知らない人と会うことは、人によってはすごく苦痛になるもの。
しかし、ポジティブな人は、どんな状況でも楽しもうとして、またそれができることが本当に多いです。
知らない人相手でも気さくに話しかけるので、すぐ仲良くなり、そこからまた楽しいことを見つけ出すという良い循環ができています。

 6.自分に自信を持つ
ポジティブ思考な人は、自信がある状態の時は、物事をプラス思考で考えらえたり、パフォーマンスもあがることをよく知っています。
特に根拠のないような時でも、自分を奮い立たせて強い自信を持とうとすることもあります。そんな強い自信が行動力に繋がり、多くの成功体験を獲得することになります。



ポジティブになりたい!と思ったらやること4つ

 1.何事にも当たり前だと思わず、感謝の気持ちを持つ
感謝の気持ちを持っていると、優しい気持ちになって、ネガティブなことは考えにくくなります。そのため、何事にも当たり前だと思わず、小さなことにも感謝するという習慣をつけましょう。
仕事や恋愛において、意識してみれば、協力してもらったり、助けてもらったりしていることが意外と多いことに気づきます。

 2.趣味など好きなことを積極的に行う
自分が好きなことをしている時は、誰でもワクワクして楽しい気持ちになっているものです。ポジティブとは楽しい気持ちが続く状態のことです。
もしもすぐに思いつく趣味がなければ、美味しいものを食べたりして、幸せな感情を味わえる機会を設けるようにしましょう。

 3.毎日簡単な目標を立ててチャレンジする
どんな小さなことでもいいので、数多くの成功体験を積み重ねることが重要。
長期間の間に「毎日やる」ということが、より達成感を味わえておすすめです。
ストレッチをする、疲れが残らない程度の軽い筋力トレーニングをする、といったことであれば、始めやすく続けやすくていいでしょう。

 4.ポジティブな人と接する
ポジティブで前向きな行動は、周囲に影響します。ポジティブな人からすれば、いつまでもネガティブに悲しい気持ちでいる人のことが信じられないので、はっぱをかけてくれるでしょう。
会社や恋人など、周りにポジティブな人がいるのであれば、積極的に近くにいって、たくさん話す機会をつくるのがおすすめの方法です。


――自身の老化を感じたときは?「自分は若い」と思える方法

「青春とは心の若さである」ポジティブな思考(プラス思考)に尽きる。

悲観的に考えて良いことはないので、気持ちを切り替えることが大切です。老化が頭によぎることもあるでしょうが、そんなときこそ、趣味活動などの「好きなこと」を「楽しく行う」べきでしょう。熱中することで「老けている」というネガティブな感情から、「楽しい」というポジティブな感情に目を向けることができます。

具体的な方法としては、楽しいことや好きなことに携わる時間を、少しでも多く、日常生活に取り入れてはいかがでしょうか。嫌なことがあっても、楽しい時間が打ち消してくれます。

その点では、趣味を持つことがとても重要です。趣味がある方は続けるべきですし、ない方も何かを再開したり、興味あることに挑戦しても良いでしょう。料理などは手軽に始められます。

好きなことを楽しく続ければ、予想以上に健康になれます。脳を活性化しようと思うと、ついつい「難しい問題を解かなければ」などと考えてしまいがちです。
もちろん難しい問題に挑戦することも、脳に良い効果はあります。ですが「自分の好きなこと」を楽しめられれば、より気軽に良い影響を与えられます。義務感に駆られて「自分は幸せ」と思うのではなく、楽しいことを心から満喫するべきでしょう。

脳の活性化のために、わざわざ普段やらない難しめの作業に取り組む必要はなく、自分の好きなことを楽しむポジティブ思考の方が手軽に効果があるということです。


◇脳の衰えを防ぐには「コミュニケーション」を

脳を活性化するためには「フェイストゥフェイス」でのコミュニケーションが大切です。
私たちは何気なく会話をしていますが、相手の表情や声の抑揚、仕草などを観察しながら言葉を選んでおり、思っている以上に頭を使っているのです。SNSではこの過程が省かれるため、直接話す機会を持つことも必要でしょう。

自分が役に立っているという「自己肯定感」を得ることも、主観的幸福感につながります。
コミュニケーションを兼ねて、複数人で趣味などに取り組んでも良いでしょう。


会話が認知症予防に良いとされる3つの理由

1.会話は脳の多くの部分を使う
人は会話をするときは、脳をたくさん使い、それが脳自体の刺激になるということです。
会話をするときには、口や舌を動かすために前頭葉の運動野が働きますし、人の話を聞くためには、側頭葉の聴覚野も働きます。
記憶に関わる海馬も働きますし、いろいろ考えたりする過程で前頭前野も働きます。感情や感覚も刺激されます。
会話はまさに脳をフル回転する作業と言えるのです。


2.会話がストレス解消になるから
会話はストレス解消になるのです。
「“嫌なことがあっても、誰かに話してしまうとスッキリした!”という経験が、皆さんにもあることでしょう。ストレスがたまると脳の神経細胞がダメージを受けて、認知症になりやすくなります」


3.信頼関係が心を安定させるから
会話を通して、自分の気持ちを相手に伝え、また人の気持ちを理解することができれば、他の人の信頼関係を築けるようになります。家族や周囲の人と信頼関係を築けている人は、もし認知症を発症してしまったとしても、心が落ち着き、症状の進行も緩やかにすることができるのではないでしょうか



◇脳の衰えを防ぐには「運動」を
運動は、ゆっくりとした歩行でも、視界に入る風景や、足元の注意、各部の筋肉の刺激などで脳は活性化し、ほんの10分の軽い運動でも、脳は活性化し記憶機能が向上します。

歩行は、脳のアセチルコリン神経を活性化して海馬や大脳皮質の血流を増やします。また血圧があまり上がらない程度の歩行でも海馬のアセチルコリンが増え、海馬の血流が良くなるのです。歩くという運動ができない場合でも、皮膚や筋、関節に刺激をあたえることで、同様の効果が得られることがわかりました。

特にウオーキングは、30分程度で時間帯はいつでもいいことから、毎日の習慣にすると、効果があります。

太極拳や気功で脳の健康を高める
 フロリダ大学の研究によると、太極拳を生活に取り入れている人は、認知機能の低下の度合いが少なかった。ドイツ・ボン大学によると、気功はパーキンソン病の症状改善に役立った。いずれも脳だけでなく、体内の臓器の機能を整える効果がある。

ストレッチと有酸素運動で記憶力を向上させる
 ストレッチ運動や有酸素運動は、長・短期的な記憶力を高める効果がある。ハンブルク大学によると、毎週一定の時間ストレッチをした被験者の短期記憶が高まり、週に1~2時間サイクリングのエクササイズをした被験者の長期記憶は6カ月後に高まった。週に2回の1時間のストレッチか、週2回の1時間以上の有酸素運動を目安に。


・薬に頼る前にできること
アルツハイマー型認知症の人では、アセチルコリンを作る神経細胞が少なくなっています。そのため、抗認知症薬の多くは、わずかに残ったアセチルコリンの分解を防いで、アセチルコリンを増やす働きをしています。しかし、年相応の物忘れがある程度では、この神経がまだたくさん残っていますので、身体への刺激によってアセチルコリンを増やすことが可能となります。つまり歩いたり皮膚を刺激したりすることで、抗認知症薬と同じ効果が期待できます。アセチルコリンを作る神経が病気で少なくなる前なら、薬に頼らず無理のない日常的な身体への刺激で、認知症を予防できる可能性があります。

・脳の働きに欠かせない血流とアセチルコリン
脳が正しくはたらくためには、絶えず十分な血液が流れている必要があります。脳の働きを担う神経細胞は、血流不足にとても弱く、再生能力もありません。高齢者やアルツハイマー型認知症患者では、大脳皮質や海馬(記憶などの高次機能を司る部位)で脳血流の低下がみられます。この大脳皮質や海馬には、大脳の奥から伸びてきてアセチルコリンという化学物質を放出する神経(アセチルコリン神経)が来ています。

では、海馬が刺激されると、どういう効果が期待できるのだろう。
「海馬は学習や記憶などの役割を持っています。昔のギリシャでは哲学者が歩きながら議論していましたが、彼らは軽い運動が発想を豊かにすることを知っていたのでしょう。加えて海馬は、欲望やストレスの脳である視床下部が暴走するのを制御しています。つまり、海馬を鍛えることで、ストレスに強い脳を作ることができるのです」
 さらに、ランニングやエアロビクスなど中強度の運動は、前頭前野にある、情報を統合する役割の46野を活性化させる。46野は分析や判断、集中力に関係している部位で、この活動が低下すると認知症や鬱病を患う可能性がある。46野を刺激することで、仕事の判断力が向上するとともに、認知症の予防も期待できるというのだ。ちなみに、46野を刺激する中強度の運動は、心拍数110~130が目安だ。これ以上激しい運動では、視床下部を刺激してしまい、ストレスや雑念を感じるようになってしまう。脳のためには、苦しくない程度の運動で十分なのだ。ただ、軽い運動でいいと言われても、運動する習慣がない人は、なかなか腰を上げることができないかもしれない。
「走ろうと思った時に音楽を聴くのが効果的です。音楽は感情を生み出す回路を活性化しますから。『健康のため』『(タイムなど)パフォーマンスを上げたい』『気持ちいいから』。この3つが担保されれば運動を習慣化することができるでしょう」


意外に知られていない脳の性質について
「海馬」はいつも新しい細胞を生み出している

1)脳はいつまでも成長し続ける
 大人になってから勉強をしても、もう脳の発達は止まっているし、無駄なのではないか。そう考えたことのある人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
脳のあらゆる細胞は、年齢に応じて右肩下がりで減っていきます。しかし、いつも新しい細胞を生み出している場所があります。それが「海馬」です。海馬は首の裏側あたりの、ちょっと奥まったところにある小指ほどの大きさの器官です。私たちの記憶を担当しています。
従来、脳細胞は、生まれたときをピークに減り続けていくと考えられていたのですが、最新の脳医学研究から、 「海馬だけは、脳細胞を新しく生み出している」ということがわかりました。大人であっても、脳(海馬)の細胞は日々、新生されているのです。ですから私たち大人に求められる脳との「付き合い方」は、今ある脳の老化を防ぎ、成長を促すことだとわかります。
私たちも海馬についての調査を行っています。
たとえば子どもと睡眠に関する調査では、睡眠不足はそれだけで、子どもの海馬を萎縮させることが明らかとなりました。
また、690人の男性と、738人の女性を対象とした調査では、「男性の肥満が海馬の体積に悪影響を与えている」ということがわかりました(女性の肥満においては、そこまでの関連性は読み取ることができませんでした)。男性の皆さんは「太ると脳に悪い」ということを覚えておきましょう。

2)「勉強好き」な人の脳は老化しにくい
 勉強好きな人の脳は、なかなか老けることがありません。
約400人を対象に8年間にわたって行った調査では、「知的好奇心」の高い人ほど、認知機能を担当する「側頭頭頂部」の萎縮が少ないことがわかっています。「知的好奇心」とは、知りたい、学びたい、達成したいといった気持ちのことです。勉強、仕事、ボランティア、趣味などにイキイキと取り組んでいる人ほど、脳は若く保たれていたのです。「脳」への栄養は、知的好奇心なのです。
大人になってから意識をしたいのが、「前頭前野」です。前頭前野の発達は遅く、10代から20代にかけて成長を続けます。ここは、「高次認知機能」を担当する場所です。つまり一言で言えば「人間らしくイキイキと生きるための能力」です。

しかし、残念ながら壊れるのもいちばん最初(認知症は前頭前野がダメージを受けた状態です)。「知的好奇心」は、前頭前野の刺激になりますから、脳のパフォーマンスを保つためにも、自分がしたいと思える勉強に熱心に取り組むことは大きなプラスとなります。
3)遺伝より環境によって変わる面が大きい
 よく「自分が勉強ができないのは遺伝」などと言うことがありますが、実は遺伝より環境の影響のほうが大きいということはご存じでしょうか。これは「双子研究」から明らかです。
「一卵性双生児」は1つの受精卵が初期の細胞分裂をする際に2つに分かれるため、遺伝的形質が同じです。そのため、一卵性双生児を追跡調査することで、遺伝と環境が脳に与える影響を判断することができるのです。
このような研究からわかってきたことは、遺伝の影響を受けやすいのは、「感覚に近い部分」です。視覚、聴覚、触覚、運動能力など子どもの頃に発達する部分が受ける遺伝的な影響は、8割から9割となります。
一方、10代から成長する「前頭前野」は違います。こちらは遺伝の影響は5割から6割。つまり、考えたり、計画したり、コミュニケーションをとったりする、自己実現をかなえるための力というのは、遺伝の影響が少ない脳の部分なのです。
このような事実を知っていると、親の学力が低いから自分もダメだとか、自分の学力が低いから、子どももダメだ、といったことで、悩む必要がないことがわかります。もちろん逆も真なりで、親が高学歴だからといって、自分(や子ども)が同じように学力が高いという保証はありません。

4)文系も理系も、脳のつくりには関係ない
 文系脳、理系脳、といわれることがあります。でもこの言い方は必ずしも正しくありません。
私たちの中には、コミュニケーション上手でバランスを重視することができる「バランス脳」の持ち主と、論理的思考能力が高く、ひとつのことにこだわりを見せる「こだわり脳」の持ち主がいます。前者には女性が多く、後者には男性が多い傾向がありますが、あなたが男性か女性かで、どちらかの脳に決まるわけではありません。男性でも「バランス脳」を、女性でも「こだわり脳」を持っている人はもちろんいます。
つまり、男性だから、女性だから脳の構造が違うということはありません。ですから、娘は文系に、息子は理系へなどと短絡的に考えてはいけません。なぜなら理系、文系の得意不得意は、必ずしも性差で決まるものではないからです。
あなた自身の脳も、どちらに区分されているかはわからないのです。「超理系」の作家や、「超文系」の科学者もいます。男性だから、女性だから、理系だから、文系だからと、決めつける必要はまったくないのです。



◇脳のための食事
脳はとてもエネルギーを使う特別な臓器です。

飲酒は量に関係なく体には良くないので長寿を目指すならば、止めるべきです。飲酒をするとアルコールが体内で「アルデヒド」に変わり、これが老化を促進させます。

脳の働きを良くするには、細胞が喜ぶ食物を取ることが大切です。神経細胞は日々の食事で取る脂肪でつくられる。脂肪のほか、細胞間で情報を伝える物質の主原料であるたんぱく質、情報伝達のエネルギー源となる炭水化物は、脳にとって重要な栄養素といえます。

専門家の間で脳の働きを改善するため特に重視されているのは脂肪です。栄養療法の権威、米国のマイケル・レッサー医学博士は、「神経細胞は主にオメガ3脂肪酸という油で作られるが、体内では作られないため、食事で積極的に取る必要がある」という。体に良いとされるドコサヘキサエン酸(DHA)はオメガ3脂肪酸の一種です。

具体的には、オメガ3脂肪酸を豊富に含む亜麻仁油や小魚などがお勧めです。亜麻仁油は加熱せず、サラダなどにかけて食べるとおいしく、個人差はあるが、毎日小さじ1杯でも、健康効果が得られるという。

大切な大豆・玄米
大豆や玄米などに含まれるリン脂質のレシチンを取ることも大切です。レシチンは神経細胞の細胞膜などを構成する物質で、IQ食品とも呼ばれています。

食べ過ぎに注意したいのは、マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸という油だ。動脈硬化を起こす恐れがあるという理由で、欧米や韓国などでは成分表示や使用規制が課せられている。

神経細胞間の情報伝達に関係するたんぱく質や炭水化物も大切だ。積極的に取りたいたんぱく質は、タコやイカに多く含まれるアミノ酸の一種、タウリンで、集中力を高める効果がある。「脳が興奮してくるとイライラしがちになるが、タウリンがその興奮を抑える」
日常的には、穀物や豆など、植物性のたんぱく質を多めに取りたい。植物性の食品は動物性食品に比べて、神経細胞の生成に必要なビタミンやミネラルが多く、脳の働きの改善につながるという。

動物性たんぱくは主に小魚から取るのが良いが、肉も必要です。「油の少ない良質な肉やビタミンB3を摂取すると、脳内でうつ状態などの改善に役立つ化学物質が作られる」週に最低100グラム程度は食べた方がよいという。

炭水化物としては、玄米や全粒粉のパン・パスタなどの食品を取るのがお勧め。難しければ胚芽米や普通のパスタなども良い。

消化を良くするため、これらの食品をよくかんで食べることも大切です。また、どうしても不足しがちなビタミン、ミネラルなどの栄養はサプリメントを通じて取ってもよい。

現代社会では、日々の食材から有害な物質を無意識に取り込んでしまうことが多い。「農薬や水銀などは脳の健康にも当然良くない」

魚介類に含まれる水銀の量は農林水産省・水産庁が公開している。大型の魚ほど、食物連鎖により水銀の濃度が高まる。オメガ3脂肪酸の摂取源として小魚が推奨されるのはこのためだ。ただ、食材にこだわっても、有害物質を全く取り込まないのは難しい。そこで知っておきたいのは、有害物質を排出する効果のある食品です。
例えば、「海藻や豆などに含まれる亜鉛は肝臓で働く解毒酵素の材料になり、タマネギや玄米などに含まれるセレンは水銀を無毒化する作用がある」という。


第二の脳である腸の環境を整える
 腸内フローラが健康なバランスを保っているかどうかは、記憶力の優秀さや脳疾患への抵抗力の強さを判断する指針になる。ラクトバチルス・プランタルムなどといった能力アップの有効性が裏付けられたプロバイオティクスのサプリメントを摂取する方法のほか、プロバイオティクスを多く含むキムチもお勧め。


塩のない文化
 ブラジルの原住民であるヤノマモ族の人たちは、一日1グラム以下というような塩をほとんどとらない食生活で、元気で生活しているという。

地球上での実際の食生活の中で、日常とっている食塩の量をみると、一日1グラム以下の食塩しかとらないで生活している人もいれば、一日数十グラムの食塩をとっている人もいる。

食塩の過剰摂取と高血圧との関係が考えられるようになった今日では、毎日の食生活の中で、ナトリウムがどこから入ってくるか、その量はどの位なのか、をいつも考えなければならない時代になったといえる。

ナトリウムが体の中に入ると、それだけでは体液の浸透圧が高まって細胞は生きていかれないので、いつも水を必要とし、人の体液のナトリウム濃度は、”塩のない”生活をしている人のも、われわれのも同じに保たれている。そのしくみがあるのだ。

一般的にいうと、塩を必要以上にたくさんとると体重がふえ、塩の摂取量をへらすと体重は軽くなる。言葉は悪いが、”水膨れ”である。そしてこのような細胞外液量がいつも高い状態が長く長くつづくと、高血圧になってしまうのではないかと、高血圧の成因を考える人が多くなってきた。

体の中の体液のナトリウムの濃度を一定に保つ仕事をしているのが腎臓である。腎臓では毎日尿をすこしずつつくっているが、その中で、体に必要なものは外に出さないように、必要でないものは外に出すように、腎尿細管で調節している。大昔は身近に塩がほとんどなかった。塩は体に必要なものであるので、塩類を保持するホルモン(アルドステロン)が副腎から出て調節するようなしくみが人間にできたと考えらえれている。

現代の医学でのすじみちでは、塩が人間にとって必要なものには違いないが、ナトリウムの収支のバランスがとれている限り、その必要量は極めて少量であるという。

野菜、肉、魚などには微量ながら塩分が入っているので、塩分として摂取する必要はないが、食べ物を美味しく食べるのに塩分が必要で現代人の塩分摂取量が増えました。だが現在は色々な香辛料、酢等で味付けすることにより塩分を極力減らすこともできます。


ナトリウムと塩分(食塩)
食塩はナトリウムと塩素が結合したものです。ナトリウムの原子量は23、塩素の原子量は35.5です。原子量とは比較的な重さをいいます。二つの原子が合わさった食塩の比較的な重さは58.5となります。従って、ナトリウムが1グラムというときには、食塩は2.54グラムになります(58.5÷23≒2.54)。つまり、食塩相当量=ナトリウム量×2.54というように計算します。


適正体重の維持
 過剰に増えた脂肪細胞は、炎症を起こす物質を分泌したり体内のホルモン バランスを乱し、がん細胞の増殖を促進します。
平均的な食事回数は1日3食ですが、定年後は、新陳代謝の低下等、栄養摂取が多くなりがちですので、1日2食も考えて調整します。遺伝子の長生きスイッチがONになるには空腹感が必要と言われています。食事前1~2時間は空腹の時間が必要です、この空腹感がでて体重が適正範囲内になると、体の不調箇所が治るのが分かります。


BMI を 18.5~25 の適正範囲内におさめましょう。
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷身長(m)
 ・18.5 未満:やせすぎ
 ・18.5 以上 25 未満:適正体重
 ・25 以上:肥満

例えば 165cm、60kg の人ならば・・・BMI = 60(kg)÷1.65(m) ÷1.65(m)= 22.0
適正体重の管理は体重計があれば簡単に測れて、目にすることができますので、毎日測定して体重維持をして自己管理しましょう。



◇睡眠
睡眠は、私たちの健康にとって重要な生活習慣です。日本には「寝る子は育つ」という諺がありますが、「良く眠る子は大きく育つ」ことを示しています。子供が成長するためには心と体の健康が必要ですが、これは子供に限ったことではありません。いつまでも健康で若々しくいるためには、大人にとっても睡眠は大変重要なのです。

「7時間睡眠がもっとも長生きする」これは、日本やアメリカ、イギリス、それぞれの国の研究チームの調査で明らかにされていることです。もとより、人には個体差がありますから、6~8時間が健康的な睡眠時間と考えてよいでしょう。

睡眠時間がどうしても短くなりがちな人は、昼寝をとり入れるといいでしょう。ただし、長時間ダラダラと寝るのは禁物です。せいぜい20~30分ほどの昼寝が、脳の休養にとても有効とされています。

良い睡眠には、心身の疲労を回復する効果や、生活習慣病を予防する効果があることが分かってきました。
 例えば、短い睡眠時間や不眠が続くと、肥満や高血圧、耐糖能異常をはじめとする、いわゆるメタボリックシンドロームのリスクが高くなるといわれています。
 また、夜間に十分な睡眠を取ることは、老化防止に効果的であるといわれています。その理由として挙げられるのが、成長ホルモンです。成長ホルモンは眠っている間に分泌量が増えるとされており、子供の成長に必要なホルモンです。成人にとっての成長ホルモンは、骨や筋肉を作る働きがあります。老化を防ぎ若々しく健康な体を維持するために、成長ホルモンが重要な働きをしています。


◇脳を最高の状態にする習慣

加齢にともなう記憶力の低下は、すべての人間に当てはまることです。
しかし、そういうことも自然の流れに従って楽に生きていくと、当然自然に朽ちていくのが当たり前だと思いますが、健康で元気な毎日を過ごそうと思ったら、何らかの形で体を動かし、それなりの努力は必要だと思います。
脳の中の「海馬」も活性化してくれるのを、待っているのかもしれません。
そうすることによって物忘れや、記憶力を取り戻せ、元気に老後を過ごせるようになるのであれば実行しましょう。


1.日記・ブログを書く
 物忘れ予防のカギを握るのは、一時的に記憶の保存場所となる大脳皮質に移った後に、情報の検索をする「海馬」である。その「海馬」を鍛えることによって維持、かつ強化することが出来れば、記憶力は増してくることになります。それは日記やブログをつけることは、筋肉を強化するのと同じ働きを持つことになります。ただし、書いた日記やブログは、人に読んでもらい、感想など意見を聞きそれに対して返事を返しましょう。それにより脳が効果的に活性化されます。

2.将棋やクロスワード・囲碁・麻雀などのゲーム
 海馬は使えば使うほど、機能低下を防ぐことができます。将棋やクロスワード・囲碁・麻雀など何でも構いません。棋譜や戦法を覚えたり、相手の打ち方や指し方を覚えることにより、脳が活発に刺激され海馬が鍛えられることになります。これらは二人以上の人数で行うゲームが、おススメです。

3.「偏桃体」の刺激
 海馬の近くにある「偏桃体」を刺激することは、海馬を鍛えることに繋がる「偏桃体は隣接する海馬の働きをサポートする器官です。そのため、偏桃体を活性化すれば、海馬も活性化されるので、感情を揺さぶられるような行動が効果的です。例えば音楽を聴いたり、恋愛など感情の振れ幅が大きければ大きいほど、海馬を刺激しますので有効です。

4.新しいことに挑戦する
 いつもとは違うことをして、脳細胞のつながりを増やす
極端な何かに挑戦する必要はなく、例えばいつもと違う道を通って帰宅するだけでも、脳細胞間のつながりが強化される。そのほか、初めての料理を作ってみる、初対面の人と話をする、美術館に行ってみる、習い事を始めるなどの小さな変化を起こすだけで、脳に新しい回路が生まれ、記憶力が改善する。


◇最後に
 脳の健康を目指すことにより、身体の健康にも繋がり、それが長寿に繋がります。
 「海馬を鍛え、趣味・好奇心を持つこと」
 「笑顔で会話」
 「毎日歩く」
 「バランスの良い食事」
 「良い睡眠」







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